帝都の霧に潜む殺人鬼

それは霧の濃い深夜、人気のない通りで行われている。
被害にあうのは連れ合いらしき若い男女で、警察の厳重な警戒態勢の中、その目をかいくぐり犯行が行われている上、発見されるのはいつも早朝であることがこの事件最大の謎である。
また、犯行は現場の状態・犯行時刻・被害者の共通点から同一犯であるというのが各所機関の共通の見解であり、その犯行の残忍性及び被害の拡大から近々軍の出動があるのではないかと噂されている。

帝都の馬に潜む借金魔

それは帝都記念杯のある前日に起こる怪奇であり、被害に遭うのは金貸しのみに留まらないという。
被害に遭った者の証言では、犯人は口八丁・身振り手振りで自信が持つ優位性(後からよくよく考えればまったく優位性は皆無)を説いたり、同情を誘い巧みに高額の金銭を借り受ける。
だが、借り受けるというのはその犯人は最後には決まって「明日のレースで10倍にして返しますよ!」と自信満々に言っていることからなのだが、いまだ返済してもらったという証言はない。
この奇怪な事件を警察は新手の詐欺事件として捜査するべきか否か紛糾しているらしい。

帝都に流れる名も無き歌姫の歌声

毎週、月曜のラヂオの番組と番組の間に流れる、名もなき歌姫の事を諸兄は知っているだろうか?
それは、番組の番組の間のわずかな合間に流れ、本のつかの間我らの耳に届き、すさんだ心をいやしてくれる。
彼女のことについては何も分かってはいない。ただ分かるのは、それは歌声からおそらく彼「女」であろうと言うことがわかる程度だ。
放送局へ詰めかけてみても、局は知らぬ存ぜぬの一点張り。果たしてただの知らないふりなのか、あるいは・・・本当に局としてもまるで関与していないのか。
種族さえ分からぬ、おそらく彼女であろう彼女の歌声を聞いたものは、新愛と敬意をこめてこう呼ぶ。「名も無き歌姫」と。
彼女の一ファンである私は、これからも彼女の歌声と正体について・・・彼女が拒絶しない限りは追い続けたいと思う。

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